ニブロール『no direction。』 (亀田恵子)

 いろいろな言いかたで「時代」が語られている。「高度情報化社会」「格差社会」「都市への一極集中化」「農村部の過疎化」「多様化」「均質化」「少子高齢化」などなど、世の中が「○○化」という言いかたで、どんどんまとめられていくように思える。確かにインターネットは普及し、これまでとは違うかたちでの格差も生まれてきている。選択肢は選り取りみどりと錯覚を起こしそうだ。だが、そうは言いつつどれも似たりよったりなセンスが氾濫しているようにも思える。俯瞰的に見れば確かにそうかもしれない。けれども、それだけでは言い表せない何かによって時代は動いている。